「人がいつどこに何人いるのか」を把握するために用いられる人流データは、計測方法や集計加工方法によって「カウントデータ」「滞留データ」「ODデータ」「移動軌跡データ」の4種類に分けられます。
ここではその4種類について、それぞれのデータが取得内容の向き不向きなどといった特徴をまとめました。ぜひ参考のうえ、自身にあった人流データを活用するようにしてください。
カウントデータは、ある地点を通過する人や特定の範囲内にいる人の数をカウントするデータです。
カウントデータでは、特定の地点を通過する人数、つまり通行量を求めることが可能です。また、データに時間や性別・年齢などの属性、移動方向などを紐付ければ、ジャンル別のデータを算出することもできます。
カウントデータは定量分析には向いているものの、売り場の傾向や客の動き(移動データ)までを把握するのは難しくなっています。そのため、需要予測や売上予測などを立てるために用いるデータとしては不十分だと言えるでしょう。
滞留データは、ある地点や空間内に一定時間とどまっている人数をカウントするデータです。
滞留データを用いれば、特定の地点や空間内の密度および混雑度を調べることが可能です。また、カウントデータと同じく、時間や性別・年齢などの属性を紐付ければ、時間ごと・売り場ごとの混雑度など、ジャンル別にデータを取得することもできます。
滞留データは人が滞留している、混雑しているポイントを調べるのには向いているものの、一人ひとりの移動データを調べるのには向いていません。なお、滞留データは導入している設備によっても情報の精度が変わるため、リアルタイムで混雑度を伝える際は、複数の装置が必要となるでしょう。
ODデータは、ある出発地点(Origin)から目的地(Destination)まで移動した人数をカウントするデータです。
ODデータを用いれば、A地点↔B地点、B地点↔C地点などの2地点間で、どこから来ている人が多いか、どこへ向かう人が多いか等、人の流れを調べることが可能です。主にスマートフォンやGPS端末などが発する位置情報を利用してデータを取得します。
ODデータでは2地点間の人の流れを示すことは可能ですが、これだけだと移動経路までを特定することは出来ません。また、とくにカメラ画像・動画やセンサーによる人流データ分析との相性が悪く、2地点に設置された装置で同一人物を認識するのは、まだ現実的ではありません。
移動軌跡データは、エリア内にいる人それぞれの移動軌跡を把握するために用いられるデータです。
移動軌跡データを用いれば、店舗内での客の動きや観光地での観光客の周遊ルートを調べることが可能です。また、人が多く通る場所やそうでない場所を調べるのにも適しており、効果検証データなどに向いています。
移動軌跡データはどちらかというと視覚的なデータであるため、定量評価には向いていません。また、データ取得頻度が長い装置との相性が悪く、とくにGPSやWi-Fi等が発する電波・位置情報を用いた分析だと、より詳細な移動軌跡の把握が困難になってしまいます
人流データ分析を行えば、エリア内の人の流れを把握でき、ビジネスのさらなる発展・向上に役立てることが可能です。とはいえ、種類によって性質が異なるため、自社にあったデータを収集するようにしましょう。
自社にマッチするサービスを依頼するには、人流データ分析には、収集・分析・行動それぞれの行程があることを理解することが重要です。以下ではその解説とおすすめサービスを紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
データ分析のプロセスとは収集・可視化・分析の3段階があります。各段階によってデータの状態が異なり、どの状態のデータが欲しいのか見極める必要があります。以下に各プロセスとデータの状態を解説し、対応できるおすすめのサービスも紹介しています。
主に携帯電話を通じて集められた人々の動向「人流データ」を活用し、結果に満足できるサービスを選びましょう。
このデータは、人の流れや動向・性質などを数量的に把握して、推計や分析は自社で行うことができます。地域間のばらつきがない基地局ベースの測位で、母数の大きなデータを取得できるサービスがおすすめ。
データをわかりやすく可視化すると、会議など意思決定の場で使うことができます。人流動向の現状把握をするためには属性データもある、細かい範囲で測位できるGPSデータを取得できるサービスがおすすめ。
分析されたデータは、早期課題解決のためのアクションがすぐに起こせます。一般的な可視化・分析よりも、より課題解決へ導けるデータを求めるなら、分解能が高くデータのゆがみを解消しているサービスがおすすめ。
※選定条件
2022年9月5日調査時点において、「人流データ分析」でGoogle検索した全27社において公式サイトで明記されている内容から以下の条件でピックアップしました。
■収集…基地局ベースデータによる、地域間差がなく、契約台数が一番多い(2022年9月調査時点)会社であるNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」※参照元:NTTドコモ公式HP:(https://www.tca.or.jp/database/)
■可視化…空間分解能の範囲が狭いGPSベースと、通信キャリアならではの契約情報による属性が入手できる一社KDDIが提供する「KDDI Location Analyzer」
■分析…空間分解能の範囲が狭いGPSベースで、データのゆがみをとるマップマッチング処理を行っているため仮説検証分析まで行えることを公式サイトで記載している一社LocationMindが提供する「xPop」