マーケティングや広告分野では、人流データ分析が積極的に活用されています。現在の人の流れを知り、分析することで効果的な企業戦略を立てることも可能です。このページでは、マーケティング・広告分野における人流データの活用事例をご紹介します。
マーケティングや広告分野において、人流データ分析はさまざまな活用方法が行われています。マーケティングやプロモーション全般に用いているケースも見られます。人流データは年代層や属性など幅広い情報が分かるため、プロモーションなどには適しているでしょう。
また、特定のエリアにおける人の行動の可視化に人流データ分析を活用するケースもあります。他にも、屋外広告のロケーション価値の評価に活用している企業もあるようです。
マーケティング・広告分野で人流データ分析を活用するにはサービス内容が自社の課題に活用できるものか知ることがポイントと言えます。こちらでは課題にマッチするサービスの選び方を解説し、おすすめの会社も紹介しています。
大手広告代理店のNKBでは、交通広告のメディアプランニングに人流データ分析を利用しています。同社では、コロナ禍によって変動する鉄道利用者数の動向把握と、それを活用したメディア提案の方法に課題を抱えていました。そこで同社はGPSデータなどを活用。駅の乗降客数や乗り換え客数を推定する仕組みを整えました。これにより、人流の状況を踏まえたメディアの提案を可能にしています。
大手ディベロッパーの三菱地所では、丸の内や大手町、有楽町エリアにおける人の動きの把握に人流データを活用しています。これらのエリアにビーコンを数百箇所設置し、アプリと連動して来訪データを収集。これにより、ビルやフロア間の移動も検知する仕組みを整えました。収集したデータは、イベント・キャンペーンの企画立案や、テナント誘致など、幅広い分野への応用を模索しています。
ショッピングモールや空港などで多数の広告媒体を展開するエムシードゥコーは、屋外広告の設置前後のロケーション価値を判断するために人流データを活用しています。主にGPSの位置情報データを使用し、媒体周辺の人流の把握や効果測定を実施しています。また、顧客へは客観的なデータを提示することで、エビデンスに基づいた提案を可能にしています。
コニカミノルタ株式会社と丸紅ネットワークソリューションズ株式会社では、商業施設などの来場者の分析を行える「人流マーケティング」で協業を行っています。
この協業は、丸紅が提供するAI映像監視サービス「TRASCOPE-AI(トラスコープ エーアイ)」に、コニカミノルタの画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」によって開発された人流解析機能を搭載することで実現しています。 このFORXAIを用いたシステムでは、来場者一人一人の顔に加えて、服装や持ち物も含めた形で人物の判定を行います。そのため、マスクや帽子で顔が隠れていたとしても同一人物と認識して追跡を行えます(個人を特定せず追跡することから、プライバシーの懸念は軽減されます)。
このように、プライバシーに配慮しつつ来場者の動線や施設内店舗間の相互利用者数、来場者の時間帯別の属性といったマーケティングデータを取得することで、販売戦略の立案や課題解決の効率化が期待されています。
岐阜県恵那市は、豊富な観光資源を有する地域です。これまでは観光客誘致のために紙媒体のパンフレットやチラシの活用を行ってきましたが、効果の検証が行えないなどの課題を抱えていました。このような背景から、観光資源の効果的なプロモーションを行うために、ビッグデータ分析による興味関心層を把握し、その結果をもとに広告や位置情報と通信キャリアデータによる来訪計測を実施するデジタルマーケティング施策に取り組んでいます。
その結果、イベント来訪者数が39%増加したといったように誘客効果が確認されました。さらに観光客層の可視化にも成功したことから、今後の施策に活かせる成果が得られました。
サッポロビールでは、夏季限定で運営しているビヤガーデンの集客に位置情報を活用しています。
位置情報の広告経由のお客さまであれば、該当する広告を見て来客したという点を計測が可能となります。このことから、同社では位置情報の活用を行っています。
また同社で運営しているビヤガーデンの場合、お客さまが来店することが同社の製品を体験することと同じ意味となることから、その送客にどの程度貢献可能なのかを計測することにしました。この点から、同社ではサイバーエージェントの「AIR TRACK」を活用。このような取り組みによって、位置情報によるイベント集客を見える化しました。
ここでは、人流データ分析をマーケティング・広告分野の課題解決に導いた実際の事例をいくつか紹介しました。近い将来にデータ分析はどこまでの課題を解決できるかをこちらのページではまとめています。
マーケティング・広告分野において、幅広く活用できるのが人流データです。行動データから効果的な戦略を立案するのはもちろん、施策後の効果測定にも活用できます。
人流データ分析をビジネスで活かすなら、分析会社と自社のマッチが重要です。特徴を把握し、自社のニーズに適した分析会社を選ぶことが重要です。おすすめの会社3選を紹介していますのでご覧ください。
データ分析のプロセスとは収集・可視化・分析の3段階があります。各段階によってデータの状態が異なり、どの状態のデータが欲しいのか見極める必要があります。以下に各プロセスとデータの状態を解説し、対応できるおすすめのサービスも紹介しています。
主に携帯電話を通じて集められた人々の動向「人流データ」を活用し、結果に満足できるサービスを選びましょう。
このデータは、人の流れや動向・性質などを数量的に把握して、推計や分析は自社で行うことができます。地域間のばらつきがない基地局ベースの測位で、母数の大きなデータを取得できるサービスがおすすめ。
データをわかりやすく可視化すると、会議など意思決定の場で使うことができます。人流動向の現状把握をするためには属性データもある、細かい範囲で測位できるGPSデータを取得できるサービスがおすすめ。
分析されたデータは、早期課題解決のためのアクションがすぐに起こせます。一般的な可視化・分析よりも、より課題解決へ導けるデータを求めるなら、分解能が高くデータのゆがみを解消しているサービスがおすすめ。
※選定条件
2022年9月5日調査時点において、「人流データ分析」でGoogle検索した全27社において公式サイトで明記されている内容から以下の条件でピックアップしました。
■収集…基地局ベースデータによる、地域間差がなく、契約台数が一番多い(2022年9月調査時点)会社であるNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」※参照元:NTTドコモ公式HP:(https://www.tca.or.jp/database/)
■可視化…空間分解能の範囲が狭いGPSベースと、通信キャリアならではの契約情報による属性が入手できる一社KDDIが提供する「KDDI Location Analyzer」
■分析…空間分解能の範囲が狭いGPSベースで、データのゆがみをとるマップマッチング処理を行っているため仮説検証分析まで行えることを公式サイトで記載している一社LocationMindが提供する「xPop」