生活の基盤となるさまざまな仕組みであるインフラ。自治体を始め、さまざまな機関において人流データ分析を活用する取り組みを行っています。このページでは、日々の生活がよりよいものになるためのインフラ分野の活用事例をいくつかご紹介します。
インフラ分野においては、多数の自治体や行政機関が人流データを活用しています。主に街づくりや行政課題の解決に活用されていますが、検索データなど他のビッグデータを組み合わせた取り組みも見られます。このほか、人流データを使用して業務効率化に取り組んでいる企業も中にはあります。
このように、インフラ分野では、さまざまな部門・領域で人流データが活用されています。領域が多岐にわたることから、人流データの汎用性・応用性の高さが伺えます。
インフラ分野では分析力がポイントと言えますが、依頼したデータ結果を活用するには現状にマッチしたサービスを選ぶことも重要です。こちらでは課題にマッチする分析会社選びを解説し、おすすめのサービスを紹介しています。
神戸市役所では、人流データを使用したスマートシティの推進に取り組んでいます。同市役所は複数の課題を抱えていますが、人流データを活用することで、それらを多数解決しています。
例えば、人流データをコロナ対策に活用した結果、夜の繁華街など滞在人口が分かり、自粛効果の検証が可能になりました。また、利用者の属性・居住地を駅前再整備計画の立案に役立てるなど、幅広い部署で人流データを活用しています。
岐阜県大垣市は、令和4年度に大垣市スマートシティ推進計画を策定しており、市民生活の利便性向上や行政の内部サービスの高度化・効率化に取り組んでいます。その一環として、人流データと検索データを組み合わせたものを導入しています。
例えば、どのショッピングモールに人が集まるのかを分析し、期日前投票所の開設場所の意思決定に活用しています。また、キッチンカーの支援事業に活用するなど、人流データや検索データを活かした政策に取り組んでいます。
徳島県鳴門市を中心に多数の顧客を抱える鳴門ガスでは、業務効率化と保安確保を実現するために人流データを活用しています。月に1回、約12,000戸(2022年10月16日調査時点)の顧客データをシステムへ取り込み、各種情報を更新。このデータを元に、訪問予定の顧客情報の確認や、メーター満了の期日が迫っている顧客の検索、効率的な訪問計画の立案などを行っています。また、自然災害発生時に保安重要度別戸宅を地図上で表示する仕組みも整え、緊急時のシミュレーションや体制計画の立案に活用しています。
湘南地域は首都圏から近く、多くの観光客が訪れるため、道路の混雑や特定交通機関、特定エリアへの人手の集中が起こっていることから、観光客の満足度低下のみならず、地元住民の生活にも影響が出ています。このような背景から、混雑情報の取得を行い、その上で域内移動者に対して混雑情報やお得な情報の提供などを行うことによって、課題の解決に取り組んでいます。
取り組みの結果、情報提供を行う上ではターゲットを特定した上でのオンライン導線が有効であることや、混雑情報が利用者にとって役立つものである点が確認されています。今後は湘南モノレールのウェブサイトに混雑情報の掲載を行い、発信を継続していく予定となっています。
2023年3月に開業した「相鉄・東急直通線」による影響について人流データを用いた事例です。
相鉄線大和駅から都心の渋谷駅に向かう際には、相鉄・東急直通線が開業する前は横浜駅で乗り換えを行う必要がありました。しかし、開業によって直通運転ができるようになりました。人流データを用いて分析を行ったところ、横浜駅を経由する方がおよそ2割減少していることがわかっています。さらに、新しく開業した鉄道沿線の街の変化についてですが、データを分析した結果新しい路線が開業する数年前から徐々に人口が増加していることがわかりました。
以上から、新しい路線の開通という社会的なインパクトに対し、人の変化は必ずしも同時に起こっているわけではない点が判明。このように、サービスやビジネスを展開するタイミングを逃さないためにも、人流データが重要であるといえるでしょう。
車両に搭載したセンサを活用し、都市活動をモニタリングするシステムを検証した事例です。車載センサを用いて路面状況などの道路に関するデータに加え、歩行者や自転車の位置や量に関係するデータを収集。このデータに他の既存データを重ね合わせることによって、さらに人間中心で安心・安全な歩行環境や自転車走行環境の実現を目指しているものです。
こちらの実証実験では、センサを用いた計測データから人流などを可視化することで、都市のプランニング手法に大きな変革をもたらすと期待されています。また、取得データを用いることにより、道路上の不具合箇所を把握したり、事故リスクの高いエリアでの車両交通量・速度コントロールなど多彩な活用方法が期待されています。
ここでは、人流データ分析をインフラ分野の課題解決に導いた実際の事例をいくつか紹介しました。近い将来にデータ分析はどこまでの課題を解決できるかをこちらのページではまとめています。
インフラ分野においては、行政課題の解決や街づくりなど、さまざまな領域で人流データが使われています。しかし、ビジネスで活かすのであれば、分析会社の強みと自社のニーズがマッチしている必要があります。ここでは、自社のフェーズに適したパートナー候補としておすすめの3社を紹介しています。
データ分析のプロセスとは収集・可視化・分析の3段階があります。各段階によってデータの状態が異なり、どの状態のデータが欲しいのか見極める必要があります。以下に各プロセスとデータの状態を解説し、対応できるおすすめのサービスも紹介しています。
主に携帯電話を通じて集められた人々の動向「人流データ」を活用し、結果に満足できるサービスを選びましょう。
このデータは、人の流れや動向・性質などを数量的に把握して、推計や分析は自社で行うことができます。地域間のばらつきがない基地局ベースの測位で、母数の大きなデータを取得できるサービスがおすすめ。
データをわかりやすく可視化すると、会議など意思決定の場で使うことができます。人流動向の現状把握をするためには属性データもある、細かい範囲で測位できるGPSデータを取得できるサービスがおすすめ。
分析されたデータは、早期課題解決のためのアクションがすぐに起こせます。一般的な可視化・分析よりも、より課題解決へ導けるデータを求めるなら、分解能が高くデータのゆがみを解消しているサービスがおすすめ。
※選定条件
2022年9月5日調査時点において、「人流データ分析」でGoogle検索した全27社において公式サイトで明記されている内容から以下の条件でピックアップしました。
■収集…基地局ベースデータによる、地域間差がなく、契約台数が一番多い(2022年9月調査時点)会社であるNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」※参照元:NTTドコモ公式HP:(https://www.tca.or.jp/database/)
■可視化…空間分解能の範囲が狭いGPSベースと、通信キャリアならではの契約情報による属性が入手できる一社KDDIが提供する「KDDI Location Analyzer」
■分析…空間分解能の範囲が狭いGPSベースで、データのゆがみをとるマップマッチング処理を行っているため仮説検証分析まで行えることを公式サイトで記載している一社LocationMindが提供する「xPop」