若者や家族連れなど、特に長期休暇などで多くの人出が見られるテーマパーク。混雑すると人流がうまく流れず、機会損失を生んでしまうかもしれません。人流データ分析をすることにより、ボトルネックの発見と解消が期待できるでしょう。
テーマパークには多くの人々が訪れ、イベントやアトラクションを楽しむほか飲食やグッズなどを購入して時間を過ごします。しかしお盆や正月、ゴールデンウィークなどといった長期休暇の時にはより多くの人でごった返し、満足に楽しむことができない人もいるでしょう。そういった混雑や滞留などといった課題がある場合、人流データの分析を行うことで解消できる可能性があります。どこが人気で混雑しているのか、どこが閑散としていてもったいないスペースになっているかなども分析することができ、混雑緩和や園内のスペース・配置見直しなどさまざまな改善に役立てることができます。最近ではこの人流データ分析を実際に取り入れているテーマパークも増えてきています。
数多くのレジャー施設や観光施設が集結しており、日本有数の観光地として知られる栃木県那須町。ロイヤルリゾート那須とも呼ばれるこの町において、各施設の来訪者データや施設間の周遊データを活用し、属性分析や往来・人流の把握を実施する実証実験が行われています。この集められたデータは今後、プロモーションの仮説立案や施策の実行を踏まえた来訪者の変動などを踏まえるために活用され、那須町全体での売上向上と周遊促進を目指した取り組みが進められています。
ヨーロッパの街並みを忠実に再現し、異国情緒あふれる雰囲気が人気の「ハウステンボス」は日本一広いテーマパークです。全国から年間250万人ものお客様が訪れるこの施設では、人流ビッグデータの活用による来場者分析・場内回遊分析に加え、分析データを活かしたSNS中心の集客広告に取り組んでいます。来場者の居住地や年代・性別、リピーター構成などを分析可能なダッシュボードで管理し、園外行動データからファン層を発見しての広告配信を実施するなどデータを活用したさまざまな施策を実施しています。さらに分析だけでなく混雑を可視化できる「混雑マップ」による利便性向上も実現しています。
人が多く集まる場所であればあるほど人流データの分析は価値が大きくなります。テーマパークはまさにうってつけで、データの活用により効率化や改善、顧客への情報提供などさまざまなメリットが期待されます。
データ分析のプロセスとは収集・可視化・分析の3段階があります。各段階によってデータの状態が異なり、どの状態のデータが欲しいのか見極める必要があります。以下に各プロセスとデータの状態を解説し、対応できるおすすめのサービスも紹介しています。
主に携帯電話を通じて集められた人々の動向「人流データ」を活用し、結果に満足できるサービスを選びましょう。
このデータは、人の流れや動向・性質などを数量的に把握して、推計や分析は自社で行うことができます。地域間のばらつきがない基地局ベースの測位で、母数の大きなデータを取得できるサービスがおすすめ。
データをわかりやすく可視化すると、会議など意思決定の場で使うことができます。人流動向の現状把握をするためには属性データもある、細かい範囲で測位できるGPSデータを取得できるサービスがおすすめ。
分析されたデータは、早期課題解決のためのアクションがすぐに起こせます。一般的な可視化・分析よりも、より課題解決へ導けるデータを求めるなら、分解能が高くデータのゆがみを解消しているサービスがおすすめ。
※選定条件
2022年9月5日調査時点において、「人流データ分析」でGoogle検索した全27社において公式サイトで明記されている内容から以下の条件でピックアップしました。
■収集…基地局ベースデータによる、地域間差がなく、契約台数が一番多い(2022年9月調査時点)会社であるNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」※参照元:NTTドコモ公式HP:(https://www.tca.or.jp/database/)
■可視化…空間分解能の範囲が狭いGPSベースと、通信キャリアならではの契約情報による属性が入手できる一社KDDIが提供する「KDDI Location Analyzer」
■分析…空間分解能の範囲が狭いGPSベースで、データのゆがみをとるマップマッチング処理を行っているため仮説検証分析まで行えることを公式サイトで記載している一社LocationMindが提供する「xPop」